ヒロシマ・プロジェクトについて
「ヒロシマの孫たち」
ヒロシマ・プロジェクトは2014年、広島の子どもたちが被爆者の方々へインタビューするところから始まりました。そのインタビューをもとに「ヒロシマの孫たち」の舞台が創作され、さまざまな世代の地域住民が出演し、原爆投下70周年の2015年8月に広島で上演されました。
ヒロシマ・ディスパースド・プロジェクト
「ヒロシマの孫たち」はこのヒロシマ・ディスパースド・プロジェクトを通して、様々な国のコミュニティ・シアター(地域住民と活動する劇団)と共有されました。そして2015年8月、8ヶ国10ヶ所で「ヒロシマの孫たち」の朗読会が行われました。
「アフターヒロシマ」
「アフターヒロシマ」はロンドンで進められた2つ目のオーラルヒストリー(口述による歴史の記録)と演劇のプロジェクト。原子爆弾の開発や原爆投下に対する世界の反応、そして1950年代に起こった抗議運動を中心に描いたこの作品は2016年にロンドンで上演されました。
被爆者の声を演劇に
演劇で伝えるオーラルヒストリー
ヒロシマ・プロジェクトを主催したのは、ロンドンのコミュニティ劇団であるロンドン・バブルシアター・カンパニー。40年間にわたり、劇団の拠点であるロンドン南東部で、地域住民と、地域住民による、地域住民のための演劇作品をつくってきました。ロンドン・バブルは2011年に「ロンドン大空襲の孫たち」を手掛けました。このプロジェクトは1941年のロンドン大空襲の生存者の体験談や話を聞き、彼らのオーラルヒストリー(口述による歴史の記録)をさまざまな世代の人間で地域演劇として共有することでした。そしてこの「ロンドン大空襲の孫たち」が地域の観客、そして参加者にもたらしたものは、とても意味深いものでした。地域の高齢者から子どもたちへ伝えられた生存者の生の声と体験談は、新たな命と意味を得ました。
当プロジェクトのプロデューサーであるマリゴールド・ヒューズは、17歳の時に初めて広島に訪れ、そこで目の当たりにした死の規模は想像を絶するものでした。大学卒業後、再度来日し、社会人として2年間滞在しました。1年目は広島県の呉で過ごし、同市に滞在中、広島平和記念資料館に幾度も足を運び、広島への原爆投下についてより深く学びました。7年後、マリゴールドは「ロンドン大空襲の孫たち」のプロジェクトコーディネーターとして、ロンドン・バブルのクリエイティブディレクターであるジョナサン・ペサブリッジと共にコラボレートしました。この作品の創作手法は素晴らしく、地域の住民にとって美しく、力強く、重要な作品になりました。そして、類似したものを広島でも創りたいと考え、1945年の広島の原爆投下の70周年を記念するプロジェクト「ヒロシマの孫たち」はスタートしました。
このプロジェクトは、おじいちゃんおばあちゃん、大人、そして子どもたちが共に、忘れてはいけない、繰り返してはいけない、この歴史のエピソードを考え、憶える機会を与えてくれました。
London Bubble Website
共同演出
ジョナサン・ペサブリッジ
共同演出
秋葉よりえ
共同プロデュース
小笠原由季惠
平成2年から現在まで、広島市・廿日市市おやこ劇場協議会事務局長・(特)子どもコミュニティネットひろしま代表理事。平成15年~19年まで、広島市文化財団演劇事業(演劇引力廣島)に市民プロデューサーとして参加。平成17年、被爆60周年記念事業「演劇のチカラで 平和への願い!未来への希望を!」をプロデュース。
平成18年〜20年、アステールプラザ共催「ユースのための演劇学校」プロデュース。
平成21年〜27年、南区民文化センター共催「DOCS演劇起源創造スタジオ」(15才〜30才までの演劇体験事業)をプロデュース。
共同プロデュース
マリゴールド・ヒューズ
2002年、ロイヤルセンタースクール・オブ・スピーチアンドドラマ卒業。2002年から2004年まで、毎日新聞(デイリー・ヨミウリ)で劇評を執筆する。2007年から、ロンドン・バブル・シアターにて演劇ワークショップ講師を担当。2011年からロンドンの劇場・シアター・センター所属となる。2010年から2011年まで、『ロンドン大空襲の孫たち〜黒い鳥たち』を共同プロデュース。
Marigold's Blog
The Grandchildren of Hiroshima Blog
脚本
瀬戸山美咲
劇作家・演出家。ミナモザ主宰。2001年自らが作・演出を担当する劇団「ミナモザ」を旗揚げ。2003年より、2011年、『エモーショナルレイバー』が、若手登竜門・シアタートラムネクストジェネレーションvol.3に選出される。近作に、『ホットパーティクル』、『指』、『国民の生活』、『みえない雲』など。『彼らの敵』が第58回岸田国士戯曲賞最終候補になる。劇団外の活動に、向田邦子原作『阿修羅のごとく』舞台化の上演台本、伊坂幸太郎原作『フィッシュストーリー』『チルドレン』舞台化の脚本・演出など。世田谷パブリックシアター主催の演劇ワークショップ「地域の物語」や、小中学校でのワークショップの進行役など、地域の人々との活動にも力を入れている。日本劇作家協会事業委員。
デザイン
長谷川康子
東京都出身。高校を卒業後アメリカ、その後イギリスへ留学。在学中から英ロイヤルナショナルシアターの教育部プロジェクトに参加。卒業後、装置・衣裳デザイナーのして活動を開始。フィリップ・リドリー作『Feathers in the Snow』世界初演の美術・衣裳デザインを担当。その他コミュニティーシアターやユースシアター作品に多数参加。2008年帰国。2012年までセンターラインアソシエイツ所属。日本での作品に『美しきものの伝説』(新国立劇場研修所公演、西川信廣演出)、『兵士の物語』(白井晃演出)、『たったいま八月の冥王星で たったいま八月の地球では』(篠本賢一演出)ほか。
美術製作: 上田小百合 (Unima Design舎)
照明: 木谷幸江・太田真美
音響: 木村聡
楽曲提供: ウィルフ・ペサブリッジ
舞台監督: 田中暁弘
ビデオ撮影・編集: 檀上厚広 (5Dlab)・来山英明
このプロジェクトは、イギリスのコミュニティーシアター(地域劇団)であるロンドン・バブル・シアター・カンパニーが、子どもコミュニティーネットひろしまと現代人形劇グラシオブルオの協力のもと、企画・運営しています。